『研究者を目指すのであれば、
いま、世の中から認められようと思わないことだ』
ある科学者が自身のブログで述べている言葉です。
数学者だった父から言われたのは、
『生きているうちは評価されちゃダメだぞ。
生きているうちは叩かれていいんだ。
死んでから30年経って評価されたら立派な学者だ。』
彼の生涯の“信念”になったそうです。
・
本来会計は、儲けるためのツールではありません。
経営の結果を集計して報告(説明)するためのものです。
投資家や銀行は、この報告書を利用(活用)します。
税務申告の際は、この報告書をもとに税金を計算します。
それがいつの頃からか、
会計人や中小企業診断士、そして世の中が「決算書」を重要視しはじめました。
たしかに、会計は儲けるためのツールではありませんが、
会計で集計されたデータ(情報ではない)には、
この先経営に使える部分が含まれています。
決算書に載っているのは、これらのデータの一部分にすぎません。
「今年の売上をどうするか?」を考えてみるとわかりやすい。
「昨年の売上は10億円だった」というのは「会計の話」です。
この結果をもとに今年(あるいは来年)の売上を考えるのは「経営」です。
2期比較のP/Lには、
前期と当期の売上が載っていますが、
ここからわかるのは前期と当期の「売上総額」です。
これ以上の情報は、決算書に記載する必要ありません。
売上の結果だけを集計するなら会計は不要ですが、
これを会計で集計する、というところに価値があります。
さらに未来に向けて活用するとなると
意識してデータを蓄積しなけれななりません。
データを情報として使うためには工夫が必要です。
・
「売上を10億円から12億円にする(しよう)」
という場合、
「売上が12億円だから原価(または変動費)はこうなって、
経費(または固定費)はこのくらいで、差し引き利益はこうなる」
経営を会計で捉える癖がついている人たちは、このように考えます。
そして頭の中にP/Lや変動損益計算書をイメージします。
では、社長たちはどう考えるでしょうか?
「売上が12億円にする」という理由や思いはさまざまですが、
思い浮かべるのは取引先、仕入先・外注先、そして社員など“経営の現場”です。
「受注が増えてきているので売上2億円の増加は見込める」
という状況で
それに伴う材料の調達、人手の確保、外注先の手配、
生産能力は今の設備で足りるのか、あらたに投資が必要なのか、
そして取引先との価格交渉をどうするか、カネは足りるのか。
その道のプロである社長だから、頭の中はフル回転です。
このような背景があって、
それを計画(数字)にどのように落とし込むのかを考えるのですが、
会計の枠組みを使わないと計算ができません。
そのため会計の話になってしまうのです。
社長が身につけるべき会計は、
社長自身が考えている未来を数字で整理するスキル(技芸)です。
決算書の構造を学ぶのも、このためだと思っています。
そこで重要になってくるのが、
過去の会計データの中で【どの部分を使うのか】です。
(つづく)
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