前回の続きです。
今年9月に東京で開催したMG研修の参加者から聞かれた。
「ウノさんは日々企業で発生した取引が、
B/S・P/L・C/Sのどの部分に影響するのか(どこが増えてどこが減るのか)、
瞬時にわかるんですよね」
「なるほど、私の中ではあたりまえのこの感覚は、
会計に詳しくないひとたちとっては、あたりまえではない」
この質問で、気づかされた。
もし、この感覚を身につけることができたら、
会計情報(決算書ではなく)を経営に活用する第1歩になるはず。
社長が未来を考えるうえで、役に立つに違いない。
では“この感覚”は特殊なものなのだろうか?
これは“感覚”ではない。誰にでも身につけることができる“技術”。
商業高校の生徒たちは“簿記”を習う。
経理を担当している人たちは“簿記”を使って仕事をする。
ここにヒントが隠されている。
前回のメルマガで紹介したように、
決算書を作るためには“データ”が必要になる。
そのデータは、経理の人たちが作る。
彼ら(彼女ら)は、企業で日々発生した取引を
データとして記録し蓄積するために“仕訳”という技術を学ぶ。
仕訳ができるようになるためには、訓練が必要だ。
頭で、知識だけで仕訳ができるようにはならない。
小学生が最初に覚える“九九”の訓練のようなもの。
経理を担当している人たちは、
取引から仕訳を、いとも簡単に作成できるスキルを身につけた。
仕訳というデータが何を意味しているのか、当然わかる。
なぜ、何年ものあいだ“決算書本”が売れ続けているのか?
出版社の思惑もあるのだろうが、
決算書本を何冊読んでも、会計を理解することはできない。
それを知ってか知らずか、あるいは戦略なのか、
税理士やコンサルタントたちも、
でき上った決算書に焦点をおいて解説や分析をはじめてしまう。
決算書は、会計の専門知識がなくてもある程度わかるように作られている。
簿記(仕訳)の知識はまったく不要だと言ってもいい。
だから「わかりやすい決算書本」には、簿記(仕訳)の話は出てこない。
B/Sは期末の勘定科目の“残高”を、
会計のルールに従って左右に並べた表にすぎない。
現金はいくら残っていたのか、借入金の期末の残高はいくらあったのか。
P/Lはもっとわかりやすい。
一番上の“売上高”から順に経費(費用)を差し引いていき、
(途中プラスマイナスが交互に出てくる場面があるが)
最後は“当期純利益”で終わっている。
2024年7月、大阪で「決算書特別講座」を開催した。
決算書を理解したいという社長たちが集まったが、
それぞれ「理解したい内容」が異なる。
そこで「ある実験」を試みた。
簿記の仕組みを、まったく別の話にたとえた問題を出してみた。
会計の専門知識がないにもかかわらず、
この問題に参加者全員が正解、これには私が驚いた。
「これから簿記会計の仕組みの話をします」
借方とは・・・
貸方とは・・・
複式簿記とは・・・
貸借対照表とは・・・
この段階で、
私だったら間違いなく「拒否または拒絶」する。
商業高校の生徒たちは、
なぜ簿記という技術を身につけることができるのか?
ここに大きなヒントがある。
次回のメルマガで紹介したい。
どうすれば社長たちは、
自分の会社の未来が見えるようになるのだろか?
このテーマのもとで
『社長のための決算書・会計講座』
をホームページで連載します。
「わかりやすい、やさしい」内容では、身につきません。
かといって、難しかったら読む気にはならない。
決算書という一部分ではなく、全体の流れの中で会計を学んでほしい。
そのための土台、基礎は必要です。
順次公開していきます。
初回は「決算書の正体」です。
⇒ https://www.mxpro.jp/ac-course/
(つづく)
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