Vol.554【わかりやすい決算書本/やさしい決算書本】


◆決算書ができ上がるまで

 会計は、本来とてもシンプルで簡単な仕組みなのですが、それでも多くの人たちは挫折を経験します。そして、世間の目は決算書に向いています。その決算書はどうやって作られているのでしょうか。決算書の正体を理解するうえで、決算書に至るまでの過程がヒントになりそうです。

 決算書を作るためにはもとになるデータが必要です。会計ではもとになるデータのことを「仕訳(しわけ)」といいます。

 この仕訳はどうやって作られるのでしょうか。仕訳は、取引が発生してはじめて記録されます。資産、負債、純資産(収益、費用を含む)のいずれかに変動を及ぼす事象が生じた場合、会計では取引が発生したことになります。ビジネスにおける取引とは意味合いが異なります。「資産、負債、純資産、収益、費用」は会計用語です。

 取引は、何らかの意思決定の結果です。意思決定がなければ会計上の取引は発生しません。

 では、誰が意思決定をしているのでしょうか?

◆意思決定の大半は現場で行われている

 社長だけが意思決定をしているわけではありません。大半の意思決定は現場で行われています。

・仕入れ業者の選定

・購買価格の決定

・得意先への価格設定、値引き、見積書作成、取引条件

・外注へ出すか出さないか

などなど。

 設備投資や借入など重要な部分についての意思決定は社長が行いますが、日常業務での意思決定は現場が行っているのです。そしてその積み重ねの結果が、最終的に決算書の数字に反映されることになります。会計とは過去に起きた取引を集計し、決算書を作成して報告(説明)することなのです。