「良いアイデアが欲しい!」
アイデアがなかなか出ずに、悩んでいた時期がありました。
「アイデアが次々にわき出てくるにはどうすればイイ」
このとき、インターネットはまだ世の中に存在していません。
苦しまぎれに思いつくまま書き留めていったのですが、
良いアイデアは、そう簡単に天からは降ってきません。
私が卒業したのは「工業意匠」学科。
英語でいうと「インダストリアルデザイン」。
かっこよく言えば「デザイナー」、工業製品のデザインです。
卒業してから一時期、製造業で図面を書いていました。
今でも、デザインにはこだわりがあります。
思えば、
大学の授業で「アイデアの出し方」を教わった記憶はありません。
が、一つだけ印象に残っている講義があります。
「このポットはデザインはスゴク良いがとても使いづらい」
という表現は間違いでデザインとは色や形だけではない、というような内容でした。
「デザイナーはアイデアが泉のごとくわき出てくる」と思われているようですが、
けっしてそんなことはありません。
デザイナーでなくてもアイデアが次々出てくる人もいます。
日々訓練しているか、意識しているか、考えているかの違いです。
アイデアが出なくて困っていたとき、
当時読んでいたデザイン関連の書籍で見つけたのが、
「アイデアのつくり方」という、たった百ページの本でした。
アイデアや創造力は職業、職種を問わず必要です。
そして、「考える」ということと密接な関係があります。
アイデアを考えるときに重要なのが、知っている単語の数(語彙・ごい)です。
日本人なら、アイデアは日本語で考えるからです。
語彙をカバーするために本を読み資料を集めます。
そしてその内容を消化しなければなりません。
利益を増やすにはどうする!
たとえば、
「あるケーキ屋さんの利益を増やすにはどうする?」
というテーマで考えてみると、
私は、平凡なアイデア、誰でも思いつきそうな発想しか出てきません。
Pアップ、Qアップすらも平凡なのです。
それはなぜか、
ケーキを作ったこともないし、材料もカステラやいちご、
生クリーム程度しか思いつきません。
お店の雰囲気も「スゴイな」とか、「Fがかかりそうな店だな」程度しか思い浮かばない。
ケーキを作るための、売るための、コトバ(単語)や状況がわからない(知らない)
からです。
言葉を知っているから、知識があるからといって、
それがアイデアに結びつくかというと、そうでもありません。
アイデアを出すためにはそれなりの訓練が必要のようです。
私は「会計用語」を知っていますが、
それらの用語から勝手にアイデアが出てくるか、といえば、
けっしてそんなことはありません。
「利益を増やすにはどうする!」
・売上を増やす
・原価率を下げる(粗利率を上げる)
・経費削減
最後には、
・総資本利益率を上げる
・総資本回転率を上げる
これは、アイデアとは言えません。
こんなことを平気で言う人(会計人やコンサルタント)がいたら、
「私は考えていません」と言っているようなものです。
とても恥ずかしいことです。(本人は気づいていませんが)
会議でも、アイデアを出す人は少ない。
アイデアの出し方、つくり方を知らない、
意識していない人がとても多いのです。
「利益を増やすにはどうする!」
私の場合ですが、MQ講座やMG研修の講義で、
参加者自身が考えられるようにと、
「MQを使ったアイデアの【素】になるもの」を伝えようとします。
同時に、
「どうすれば伝わるのか!」
私にとっては重要なテーマです。
そこでいろいろと考えました。
考え続けました。
考えている間は、アイデアは出てきません。
ところが、頭のなかから忘れているとき、
散歩中だったり、風呂に入っているときだったり、
突然、天から降ってきます。
私の研修に参加した人は記憶にあると思いますが、
「しゃべらないで伝える方法」もその一つです。
このアイデアを思いついたのは10年以上前ですが、
それ以来、講義のなかに取り入れています。
もう一つは、講師が一方的に伝えるのではなく、
参加者にいかに考えてもらうか!です。
そのために「あるアイデア」を思いつきました。
これから参加される方は、私の言動に注意してみてください。
もし、気づいた人は、「えっ!」と思うはず。
・
昨年、MG研修にコンサルタントが参加しました。
感想文に次のように書いてありました。
◎2日間ありがとうございました。
宇野さんの「相手に考えさせる」講義や
進め方にはっとさせられました。
◎これまでは一方的な講義や解説をしてきました。
さっそく取り入れたいと思います。
ただ、これだけは断言できます。
考える力、創造(想像力)そして応用力は、
意識し訓練しないかぎり、自然には身につきません。
手法だけマスターしても、知識がいくらあろうとも、
アイデアは、そう簡単に出てこない!のです。
『アイデアのつくり方』
この本が日本で翻訳出版されたのは1988年4月です。
「つくり方」という題名がついていますが、
この本を読めばアイデアがわき出てくる、というハウツー本ではありません。
アイデアが出るまでの「段階(過程)」が書かれています。
「つねにそれを考えていること」
そして、
「ある日突然、天から降ってくる」
次のような一節があります。
◎諸君が実際にこれら三つの段階で諸君のすべきことをやりとげたら、
第四段階を経験することはまず確実である。
それは、諸君がその到来を最も期待していない時
-- ひげを剃っている時とか風呂に入っている時、あるいはもっと多く、
朝まだ眠がすっかりさめきっていないうちに諸君に訪れてくる。
それはまた、真夜中に諸君の眠をさますかも知れない。
・
私自身、何度もこの体験をしています。
「何か良いアイデアはないか!」
問題にぶち当たり、考えに考え抜いているときには、
ちっとも良いアイデアが浮かびません。
MQやMG研修の講義の内容(ネタ)を考えている最中は、
つまらない、当たり前のことしか浮かばないのです。
ところが、「ふとした瞬間」に天から降ってくるのです。
「そっか、そういうことか!」
みなさんも経験があるのではないでしょうか。
この本のサイトに掲載されているレビューを読んでもらったほうが伝わると思い、
原文のまま掲載することにしました。
当時私が購入したときの出版社名と違っていました。
そのくらい価値がある本なのだろうと思います。
『アイデアのつくり方』
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