第5章・社長のための戦略MQ会計
MQ会計を実践し業績アップに活用するのは企業です。企業はMQ会計を使う側です。これに対し、MQ会計を伝える側の人たちが出てきます。職業会計人(税理士、公認会計士)やコンサルタントです。
次のような説明や記述を見つけたら要注意です。
とくに会計に携わっている人たちは、これまで学んできた会計という固定された概念から抜け出せず、当然のように解説をはじめてしまいます。
会計の感覚だけで考えるとたしかに、
・Fは少ないほうがいい
・Qは多いほうがいい
・Vは下げたほうがいい
・Pは高いほうがいい
と言ってしまいがちです。
しかしこれでは、
・売上を増やしてください
・経費が多いですね
・限界利益率を高めましょう
・あと1%変動費率(原価率)を下げるだけで、、、
と言うのと変わりません。
せっかくのMQ会計がもったいない!
これを経営の現場に当てはめてみると、
・Fを下げる?
そんなに簡単に削減できますか?
・Qを増やす?
都合よく増えますか?
・Vを下げる?
仕入れ先や外注先が「うん」といいますか?
こちらのVは相手のPです。
・Pを上げる?
これができたら誰も苦労はしません!
たとえば居酒屋。
Fを下げようとすると
・店員を呼んでもいつまでも来ない
・5分経ってもビールが出て来ない、注文した料理が来ない
・いい加減なアルバイトは注文を間違うしお客を怒らせる
・割り箸は安物
Vを下げようとすると
・何としても原価は3割以内!
・メニューの写真より貧弱な料理が来る
・食材の質を下げる
Qを増やそうとして
・店内がガラガラなのに回転率を上げようと狭い席を指定する
・厨房が追いつかないのにどんどん客を入れる
結果、待たされる
F↓も、Q↑も、V↓も、P↑も、すべて売る側、店側の都合です。会計の常識で経営をしてしまうと
FアップでQアップ、そしてMQアップ
VアップでQアップ、そしてMQアップ
という発想には結びつきません。
グラスに日本酒を注ぐとき、表面張力でピタリととめる
そうではなくて外側のマスにも溢れ、マスの外の皿にまで溢れれば、お客は「おおっ!」と感激します。メニューの写真以上の料理が出てくれば、お客は「すごい!」と驚きます。この店にまた来よう!そしてQアップにつながります。「VアップでQアップMQアップ」です。
MQは会社の外、お客のところにしかありません。会社のなかにあるのはFだけ、MQは1円もないのです。店の都合を優先し、お客より原価率を重視したような居酒屋に、私はまた行こうとは思いません。
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