第5章・社長のための戦略MQ会計

5 会計の常識は経営の非常識

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◆初心者が陥りやすい誤り

 MQ会計を実践し業績アップに活用するのは企業です。企業はMQ会計を使う側です。これに対し、MQ会計を伝える側の人たちが出てきます。職業会計人(税理士、公認会計士)やコンサルタントです。

 次のような説明や記述を見つけたら要注意です。

 とくに会計に携わっている人たちは、これまで学んできた会計という固定された概念から抜け出せず、当然のように解説をはじめてしまいます。

 会計の感覚だけで考えるとたしかに、

・Fは少ないほうがいい

・Qは多いほうがいい

・Vは下げたほうがいい

・Pは高いほうがいい

と言ってしまいがちです。

しかしこれでは、

・売上を増やしてください

・経費が多いですね

・限界利益率を高めましょう

・あと1%変動費率(原価率)を下げるだけで、、、

と言うのと変わりません。

せっかくのMQ会計がもったいない!

 

 これを経営の現場に当てはめてみると、

・Fを下げる?

 そんなに簡単に削減できますか?

・Qを増やす?

 都合よく増えますか?

・Vを下げる?

 仕入れ先や外注先が「うん」といいますか?

 こちらのVは相手のPです。

・Pを上げる?

 これができたら誰も苦労はしません!

 

◆会計の常識は経営には通用しない

 たとえば居酒屋。

Fを下げようとすると

・店員を呼んでもいつまでも来ない

・5分経ってもビールが出て来ない、注文した料理が来ない

・いい加減なアルバイトは注文を間違うしお客を怒らせる

・割り箸は安物

Vを下げようとすると

・何としても原価は3割以内!

・メニューの写真より貧弱な料理が来る

・食材の質を下げる

Qを増やそうとして

・店内がガラガラなのに回転率を上げようと狭い席を指定する

・厨房が追いつかないのにどんどん客を入れる

 結果、待たされる

 

 F↓も、Q↑も、V↓も、P↑も、すべて売る側、店側の都合です。会計の常識で経営をしてしまうと

FアップでQアップ、そしてMQアップ

VアップでQアップ、そしてMQアップ

という発想には結びつきません。

 

グラスに日本酒を注ぐとき、表面張力でピタリととめる

そうではなくて外側のマスにも溢れ、マスの外の皿にまで溢れれば、お客は「おおっ!」と感激します。メニューの写真以上の料理が出てくれば、お客は「すごい!」と驚きます。この店にまた来よう!そしてQアップにつながります。「VアップでQアップMQアップ」です。

 MQは会社の外、お客のところにしかありません。会社のなかにあるのはFだけ、MQは1円もないのです。店の都合を優先し、お客より原価率を重視したような居酒屋に、私はまた行こうとは思いません。

 

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