第5章・社長のための戦略MQ会計

4 損益分岐点比率と経営安全率の欠陥

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◆変動費は売上高に比例するのか

 簡単な事例をもとに、「変動費はほんとうに売上高に比例するのか?」について考えてみます。

 

 あるスーパーマーケットで、1本60円で仕入れた缶ジュースを100円で販売しているとします。先月の缶ジュースの売上は30万円でした。仕入(原価)は18万円、原価率は60%です。

 販売会議でのことです。今月は缶ジュースを重点的に売っていこうということになりました。売上目標は1.5倍です。「Aさん、粗利益はどうなるかね、ちょっと試算してくれないか」

 

 経理担当のAさんは電卓を使ってその場で答えを出しました。Aさんの答えにいたるまでの計算過程です。

1.売上目標は30万円の1.5倍で45万円

2.原価率は60%なので27万円

3.したがって粗利益は差し引き18万円

4.結果的に粗利益も1.5倍になるはず

 これを、変動費・固定費を使って計算すると次のようになります。

 

[前月の缶ジュースの実績]

売上高  30万円

変動費  18万円(変動費率:60%)

限界利益 12万円(限界利益率:40%)

 

[当月の缶ジュースの目標・試算]

売上高  45万円(1.5倍)

変動費  27万円(1.5倍)

限界利益 18万円(1.5倍)

 

1.前月の売上を1.5倍にする[30万円×1.5倍=45万円]

2.変動費は売上高に比例するので変動費も1.5倍[18万円×1.5倍=27万円]

  (かりに売上を5倍にするなら変動費も5倍にする)

3.限界利益は売上高から変動費を差し引く

 

 管理会計では、1.5倍した売上高45万円に変動費率の0.6を掛けて変動費を求めます。変動費率0.6は変わらないのため、変動費を1.5倍するのと同じです。変動費が売上高に比例するという前提では、次の比例式が成リ立ちます。

 

(比例式)

前月売上30万:前月変動費18万=当月売上45万:当月変動費?万

小学校で習う「内項の積=外項の積(18×45=30×?)」から求めることもできます。(18×45÷30=27)

 

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