第5章・社長のための戦略MQ会計
簡単な事例をもとに、「変動費はほんとうに売上高に比例するのか?」について考えてみます。
あるスーパーマーケットで、1本60円で仕入れた缶ジュースを100円で販売しているとします。先月の缶ジュースの売上は30万円でした。仕入(原価)は18万円、原価率は60%です。
販売会議でのことです。今月は缶ジュースを重点的に売っていこうということになりました。売上目標は1.5倍です。「Aさん、粗利益はどうなるかね、ちょっと試算してくれないか」
経理担当のAさんは電卓を使ってその場で答えを出しました。Aさんの答えにいたるまでの計算過程です。
1.売上目標は30万円の1.5倍で45万円
2.原価率は60%なので27万円
3.したがって粗利益は差し引き18万円
4.結果的に粗利益も1.5倍になるはず
これを、変動費・固定費を使って計算すると次のようになります。
[前月の缶ジュースの実績]
売上高 30万円
変動費 18万円(変動費率:60%)
限界利益 12万円(限界利益率:40%)
[当月の缶ジュースの目標・試算]
売上高 45万円(1.5倍)
変動費 27万円(1.5倍)
限界利益 18万円(1.5倍)
1.前月の売上を1.5倍にする[30万円×1.5倍=45万円]
2.変動費は売上高に比例するので変動費も1.5倍[18万円×1.5倍=27万円]
(かりに売上を5倍にするなら変動費も5倍にする)
3.限界利益は売上高から変動費を差し引く
管理会計では、1.5倍した売上高45万円に変動費率の0.6を掛けて変動費を求めます。変動費率0.6は変わらないのため、変動費を1.5倍するのと同じです。変動費が売上高に比例するという前提では、次の比例式が成リ立ちます。
(比例式)
前月売上30万:前月変動費18万=当月売上45万:当月変動費?万
小学校で習う「内項の積=外項の積(18×45=30×?)」から求めることもできます。(18×45÷30=27)
[5-42]