管理会計のCVP分析を学んでいくなかで、費用を変動費と固定費に分解して損益分岐点売上高を求める計算式が出てきます。
損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費÷売上高)
そこで「変動費の定義(らしきもの)」を読んでみるのですが、著者によって説明が異なります。
・生産高や売上高に比例して発生する費用で、中心となるのは原材料の仕入費用や
外注費用など
・生産量や販売量に比例して変動する費用。製造業では材料費や外注加工費、
小売業の場合には商品の売上原価、販売手数料、運送費などが変動費に含まれる
・売上高や操業度に比例して増加する費用。販売業であれば商品仕入や発送運賃など、
製造業であれば材料費、外注加工費、荷造運賃など
紹介したのはたった3つですが、これらの説明に共通している2つの表現があります。1つは「生産高や売上高に比例、生産量や販売量に比例、売上高や操業度に比例」に含まれる「や」、もう1つは「など」です。
3つとも説明が異なるというのは何を意味しているのでしょうか。「管理会計では、変動費の明確な定義は存在するのだろうか?」という、損益分岐点分析の根底を揺るがすような疑問がわいてきます。いつ壊れるのかわからない基礎の上に大きなビルが建っている、という感じでしょうか。
ここに10人の税理士やコンサルタントがいるとすると、同じ決算書をもとに損益分岐点売上高を計算した場合、出てくる答えは全部違うはずです。これでは、損益分岐点分析をこの先の経営に使えるはずがありません。