017.決算書本を読む・インプットとアウトプット


今回は、「インプットとアウトプット」というテーマ。

 

本を読む場合について考えてみる。

本を読む行為、読書はインプットに該当する。

インプットした内容を頭の中で整理(処理)し、

それをアウトプットすることになる。

 

アウトプットの段階で2つに分かれる。

1.アウトプットの内容が具体的

2.インプットのみでアウトプットしない

 

1は、目的がはっきりしている読書。

2の場合は、とりあえずインプットだけしておいて

インプットした情報から何かしようとは思わない。

 

仕事の場合は目的がはっきりしている。アウトプットは「仕事に活かす」である。

 

資格取得

英会話

エクセルやワード

必要な知識など

 

仕事をするうえで欠かせない研修や読書、活用するためのインプットは「手段」となる。

 

小説やエッセイなどの読書は、インプットしている時間自体が楽しい。

これは「2.インプットのみでアウトプットしない」の状態である。(

)「アプトプットしない」とは、ここでは「具体的な成果物がない状態」を指す。

 

では、決算書本や会計本の場合はどうだろうか?

「1.アウトプットの内容が具体的」であれば、

目的を達成するために決算書本や会計本を読む。

 

目的が明確な読書は能率はあがるが、関係ない部分は読みとばす。

試験に出ないところは興味をもたない。

 

                ・

 

職業会計人(税理士・公認会計士)や中小企業診断士は、

国家試験に合格する目的で勉強をする。

 

合格後に、受験勉強で得た決算書や会計の知識で通用するのは一部、

決算書や会計の仕組みなど基礎知識の部分であって、

それを経営、とくに人間を相手にどのように使っていくのか。

 

自分の頭で考えようとしない人たちは、

他人が提唱しているやり方や手順でアウトプットする。

教科書で学んだことをそのまま伝えようとする。

 

流動比率は200%以上が望ましい

労働分配率は5割以下に抑える

飲食業での原価率は30%を超えたら利益を圧迫する

在庫は少ないほうが良い

 

そこに「なぜ、どうして?」という疑問は存在しない。

 

わかりやすい経営分析やグラフなどは、ソフトウェアが勝手に作ってくれる。

さらには、これらの帳表や資料を

「どのように解説すれば相手に伝わるのか?」

このようなセミナーや書籍まである。

 

「この場合にはこう説明し、こう聞かれたらこう答える」

のような、ハウツーばかり学ぶとどうなるか?

説明のしかたまで他人から伝授され、ものごとの表面、手法しか学ばない。

自分の考えはない、薄っぺらな知見である。

 

このような人たちが書いた(かもしれない)決算書本を、

社長たちが読む(かもしれない)のである。

もし、彼らから経営指導を受けると思うと、私はゾッとする。

 

                ・

 

多くの社長たちは、「明確な目的」がないまま会計(決算書)本を読みはじめる。

これが、「2.インプットのみでアウトプットしない」状態だ。

 

目的がなくても、じっくり味わいながら読むゆとりのある読書は、

これまで知らなかった部分やわからないところに気づく機会になり、

知見が広がる可能性をもっている。

 

決算書本を読んでいるときを想像してみる。

インプットしたものをアウトプットする過程において、

自分の脳で何が起きているのか。

 

ゆとりのある勉強がほんとうの勉強だと思う。

社長たちが決算書や会計を学ぶうえで、ここに大きなヒントがある。

 

書店に行けば、「伝わる文章の書き方」や「○○思考」のように、

手軽にインプットできる書籍が並んでいる。

これらの本には、インプットしてからアウトプットするまでのやり方や手順が、

筆者ごとに述べられている。

 

同じテーマでも、数多くのやり方や手順があるということは、

「すべての人に当てはまる普遍的な一般論は存在しない」

ということを意味している。

恋愛の最適な方法が存在しないのと同じである。

 

どのような情報と、どのような時期に、どのような状況で出会うのか、

アウトプットするまでの処理過程は人それぞれ違う。

機種によってコンピューターの処理能力が異なるように、

人間の脳での処理能力(頭の使い方)も人によって千差万別なのだ。

 

                ・

 

決算書を現場で活用するには、最低限の会計知識が必要になる。

社長は、数ある決算書本の中から自分に合ったものを選ばなくてはならない。

 

「もっと知りたい、学びたい」

 

と思わせるような本に出会えれば、とてもラッキーだと思う。

 

(つづく)

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