書店にいくと「決算書」に関する新刊が並んでいる。
「決算書に関する本」はわかりにくいし、
とにかく面白くない!
なぜか、
じっくりと比較してみたくなり図書館へ、、、
「決算書」や「会計」という文字が含まれている本を検索し、
7冊を選び、もくじを開いて机に並べる。
こんなに真剣に「決算書」の本を眺めたのは何年ぶりだろうか。
「んっ!」
「えっつ!!」
スゴイ発見をした!!ような気分になった。
なんと、
開いたもくじは、
7冊とも、
項目から順番から同じなのだ。
・会計とは何か?
・貸借対照表(B/S)
・損益計算書(P/L)
・キャッシュフロー計算書(C/S)
・決算分析(財務分析)
・その他
たまたまなのか、
必然なのか、
決算書という本の特性なのか、
わからないが、
とにかく、同じなのだ。
B/SやP/Lを図にして説明している点も面白いように同じ。
示し合わせたように「間接法のC/Sの解説」も載っている。
初版が10年以上前のものも最新刊も
表現の違いこそあるが、順番まで同じなのには驚いた。
会計そのものに大きな変更がないのだから当然と言えるのだが。
もう一つの共通点、
それは、著者が職業会計人(税理士、公認会計士)であるということ。
日ごろから仕事で「決算書を作っている」人たちだ。
「専門家が書いた本だから良い本に違いない」
「著名な会計人が書いた本は売れるかもしれない」
という出版社の思惑も、あるのかもしれない。
・どの本も中身が似通っている
・決算書や会計用語の説明に終始している
B/Sの左側は「資産」といい、
「流動資産、固定資産、繰延資産にわかれて、、、」
私にとって「決算書本を眺める」のは、とても苦痛な作業だ。
なぜ苦痛なのだろうか?
決算書を理解しているからという理由ではない。
眺めていて
全然ワクワクしない
この先読みたい!と思わない
会計だからしょうがないのかもしれないが、
それにしても、
工夫がない
面白くない!!
そもそも、
誰に向けて書いた本なのだろうか?
対象読者は誰なのだろうか?
これまで「良い本だな」と価値を感じた本は、
「まえがき」に著者の想いや考えがまとめられている。
その先を読んでみたいという衝動にかられる。
著者の名前や経歴、肩書はどうでもいい。
そこで「まえがき」を比較してみた。
本の題名とまえがきの要点をまとめたものがこちら。
1.決算書の入門書
山に登る人は地図、海を往く人には海図を頼りにするように
会社にかかわるすべての人たちにとって、決算書は、もっとも大事な手引き書。
⇒ 読者対象は「会社にかかわるすべての人」と書かれている。
2.決算書の読み方・活かし方
本書は、決算書が読めるようになって、
それを仕事に活かしたいと思っているビジネスパーソンのための本。
⇒ ずばり、「ビジネスマンが対象」のようだ。
3.決算書のしくみ
決算書は何のために作成し何を意味しているのか、
どこに着目すればいいのかを「ざっくり」と理解できる最適な書籍。
⇒ 対象は書かれていない
4.会計のしくみ
基本部分をしっかりと伝え、
企業経営を理解するために制度会計から
管理会計まで幅広くカバーした。
最後は実務に使える管理会計のツールを紹介している。
⇒ IFRSや連結会計に関する記述があり、実務家が対象
5.会計の基本
広くて深い会計業務の全体像を掴んでもらうことが目的。
以下の人たちを読者に想定。
・会計に携わる人たちをはじめ、経営企画に配属された人
・会計に関する業務に携わっているSE、コンサルタント
・会計を学びたい学生
・会計の要点を手早く、簡単に、身につけたい人たち
6.会計論
学生・ビジネスマン・資格試験の受験者が
財務諸表の活用法を身につけ経済社会の発展に役立つことを願う。
7.決算書の読み方
決算書の読み方がわかるようになれば、会社の業績がつかめるようになる。
経営者なら金融機関との会話がスムーズにできる。
幹部社員はその後の昇進におおきく影響する。
⇒ 経営者、幹部社員が対象
中小小規模企業の社長向けに書かれた、
「私自身」が読みたいと思うような「決算書・会計本」は、
なかなか見あたらない。
おそらく、私が想像するに、
出版社の意向によるものではないか。
ターゲットを特定の層に絞り込むよりも、
どの層にも幅広く受入てもらえる内容のほうが、
販売部数が増える。
だから、どの本も似たり寄ったりの内容になってしまう。
書き手は、きちんと定義づけをしたうえで
読者に伝えるべきだと思うし、
同様に、
社長たち読み手も、意識しなければならないと思う。
大企業の決算書を例に、見方や分析事例を説明されても、
私にはピンと来ない。
詳しい会計の中身や会計用語の解説よりも、
「自社の決算書」をどのように解釈し、
どう活用していけばいいのか、
もし私が読者だったら、そのほうが興味がある。
では、どんなときに
社長は決算書に対して真剣に向き合うのだろうか?
決算書や会計を勉強したい、
という気持ちが優先するのはどんなときなのだろうか?
「決算書が読める」ってどういうこと?
「わかる」ってどういう状態になったとき?
「活用する」って具体的には?
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